大企業や中小企業、役所などを問わず、メンタルヘルスでの不調は、職場に相応な負担がかかります。休職されてしまうとその休職者の対応及び人員減にも対応をせねばならず、結果的にその職場への負担は増大します。したがって、職場からすればメンタルヘルス不調者を出さずにできるだけ仕事に専念してもらった方が、諸事コスト的にも職場的にも安定することになるのです。だからといって、メンタルヘルス不調者への負担軽減をしなくてもいいということではありません。
近年では、産業医や産業保健師が職場にいれば彼らの助言を受けながら行動していくことが求められますし、精神科医等の主治医とも緊密に連携を図っていくことも重要でしょう。また、場合によっては休職をせざるを得ない場合もありますが、その場合にあっても早期治療にかかっていれば、早期復帰が見込めることが多くなるため、職場での負担は減少します。このように、精神疾患患者をできるだけ出さないことこそが職場の円滑な事業運営であったり、他の従業員の負担軽減につながっていくことになるわけですが、通常職場の従業員は幹部職も含めてこうしたメンタル面での対応が十分に可能な人とは限りません。そのため、産業医の選任を行っていたりあるいは産業保健師が配置されている場合にあっては、日ごろから研修や意思疎通を図るなどして、できるだけ休職者を出さないように人員配置であったりあるいは仕事の負担を振り分けるなどの対応も重要となります。